犬、猫の代表的な泌尿器の病気には、腎不全や尿路結石などがあります。
当院では治療はもちろん、病気の早期発見のための検査から、自宅でのケアのご相談なども行っています。
特に腎臓は一度悪くなってしまうと元には戻りません。気になるご症状があるときは早めにご相談にご来院ください。
こんな症状があるときはご相談を
- 水をよく飲む
- 尿の量が多い/回数が多い
- 痩せてきた/毛ヅヤが悪い
- 何度もトイレに行く(頻尿)
- 食欲がない
- よく吐く
- 元気がない
泌尿器の病気を疑ったときの検査
尿検査
潜血、ph値、尿糖、尿タンパクを調べます。
血液検査
腎臓の機能を調べます。
エコー検査
腎臓のサイズや形、膀胱の粘膜の厚さ、膀胱内の腫瘍、腎臓、尿管、膀胱などに結石があるかどうかなどを検査します。
尿比重
腎臓の濃縮能力を調べます。
レントゲン検査
尿路に結石、腫瘍があるか調べます。
多い泌尿器の病気
慢性腎臓病
慢性腎臓病は7歳以上になった中高齢の犬、猫によく見られます。特に高齢の猫で発症は多く、気づいた時にはかなり進行しており、最も注意しなければいけない病気の1つです。
腎臓には様々な機能があり、慢性腎臓病ではその機能も徐々に低下します。病気が進行し、腎臓から尿への老廃物の排泄がうまくいかなくなると腎不全、さらには尿毒症を引き起こし、最終的には死亡してしまいます。
慢性腎臓病の原因
その原因は様々で、加齢、腎臓の炎症、腫瘍の他に感染症、先天的異常、尿路結石などでも起こるため若くして腎臓病になる場合もあります。
- 尿毒素の排泄
- 血圧の調節
- 赤血球を作るホルモンを分泌する
- カルシウムの調節
慢性腎臓病になると・・・
- 尿毒素が貯まる→尿毒症
- 高血圧
- 貧血
- 骨が弱くなる
慢性腎臓病の治療
一度悪くなってしまった腎臓の組織は治療しても元には戻りません。
投薬、食事療法で進行を遅らせます。
猫下部尿路疾患
多くの猫がかかりやすい泌尿器の病気で、FUSとも呼ばれています。
腎臓から尿管、膀胱、尿道などに尿石ができる尿石症のほか、下部尿路、尿道がつまって排尿障害を起こす場合もあります。比較的オス猫に多く発症し、そのままにしておくと、膀胱炎や腎臓炎、さらに尿毒症にまで至る危険があります。早期治療が肝心です。
猫下部尿路疾患の原因
猫下部尿路疾患の中で、もっともかかりやすいのが尿路に結石がたまる尿路結石症(尿石症)です。どのようにして結石が形成されるかはまだはっきりとはわかっていませんが、毎日食べる食餌の内容や、飲む水の量などが関係しているといわれています。さらに、寒すぎたり、運動不足でストレスがたまったり、太りすぎやトイレが汚れているために排泄をしないことが続いたりといった、環境が原因となることもあります。
猫下部尿路疾患の症状
尿をもらしたり、頻繁にトイレに行って少しずつ排尿するようになります。いつもの排泄行動と異なる様子が見られたら要注意です。赤い色の尿(血尿)が出たり、さらに尿が出なくなるといった症状になると、かなり危険な状態だといえます。急性の場合は、尿が出なくなり大変危険な状態となります。
猫下部尿路疾患の治療
尿検査をして、下部泌尿器のどの部分がどのような状態になっているかにより、尿のPHを整えたり、尿結石をなくすような薬、感染防止の薬などで内科的に治療をします。重症になった場合は、外科的手術をすることもあります。
尿路結石症
腎臓、尿管、膀胱、尿道を、尿が通る路「尿路」と呼びます。尿路結石症はこの尿路のどこかに結石ができる病気です。
結石は、食餌や水に含まれている、マグネシウムやカルシウム、尿酸などのミネラル分と、尿の中のたんぱく質などが結合してできるものです。結石の大きさはさまざまで、体の大きさにもよりますが、砂粒から卵大まであり、結石症の9割が膀胱と尿道にできます。
尿路結石症の原因
膀胱炎などの尿路感染や、水分の不足、食餌の食べ過ぎなどにより、結石ができやすくなります。
尿路結石症の症状
尿道と膀胱結石になると、1回に出る尿の量が減り、尿の回数が増え、尿の出方が悪くなります。
尿が出ないのに、何度も尿をしようとするのも特徴です。
尿がまったく出ないという状態は、膀胱に尿がたまりすぎて膀胱が破裂したり、老廃物の毒素がたまって尿毒症になったりする大変危険な状態です。すぐに病院へ連れていきましょう。
尿路結石症の治療
尿路にできた結石を手術で取り除く方法が、根治療法となります。
尿道結石の場合は、細い管で膀胱の方に結石を押し出してから膀胱を開いて取り出します。
ミネラル分の摂取量を制限し、日頃から水分を十分摂れるようにしましょう。